水曜日の彼女
「頭をあげて。いいの。
私は今日…二人に会えただけで十分だから。」
そして…しゃがみ込んだまま、俺の方に身体を向ける。
「朝陽……。あのね……」
そう亜紀が言いかけて、俺はスッとベンチから立ち上がり、亜紀の腕を掴んで、俺の目の前に立ちあがらせる。
「もう…いいよ…。謝らなくて…。
あの時こうだったとか、あぁだったとか…そんな事はどうでも良い。
昔の話なら…周りの奴から何度も聞いた。
でも俺はその事が俺たちを捨てた【しょうがない】という理由にはならないと思ってる。
でもね…博斗や周りの人から言われたんだ。
【誰だって間違いは起こす】
って…。
その間違いが【俺を捨てた】という事なら、あんたに言えるのは、ふざけるなっていう一言だけだ。」