水曜日の彼女


「昔から好きだったよね…?

ヒマワリの花。」



俺がそう言うと、亜紀は驚いたように俺の顔を見る。




「うん…そうだけど…覚えてるの?」



「今…ボヤッと思い出した…。

家の庭に種をまいたんだ。

俺と博斗と亜紀さんで…。」



「そう。

ヒマワリの種を庭にまいて、毎日朝陽と博斗の2人で水をやって、

『芽が出た~♡』

とか言いながら、毎日世話をしていたの。



でも…朝陽は虫が大っ嫌いでね…ある日、ヒマワリにカナブンがとまってたの。

そしたら『こわい~~』って大泣きしていたわ。

しかもそのカナブンを博斗が手掴みで捕まえて、『兄ちゃんこわくないよ♡』って朝陽の目の前に持ってくるもんだから、朝陽はますます大泣きしてた。」



手を口にあてながら、クスクスと笑う。



「今は虫…平気になった?」



そう聞く亜紀から目線をずらし…



「まだ…きらい…。」



そう言うと、更におかしそうに笑った。




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