水曜日の彼女


今までの時間を埋めるように…

穏やかな時間が過ぎていった。




いつも病室に飾られている花について話したり、


幼い頃の思い出を話したり、


博斗やお兄さんと病室で会って、俺の捻くれていた頃の話をしたり……。




抗がん剤のせいで、辛いはずなのに…

髪の毛が全て抜け落ちても、食べ物を全て吐き出しても……

俺や博斗の前では、亜紀は決して辛そうな姿は見せず、常に笑顔で居た。





でも…


きっと……


もう……その時は近い………。





やっと…顔を見ることが出来たのに…


やっと……話を出来るようになったのに……


やっと………過去の出来事と向き合えたのに……






まだ…一緒に居る時間が足りない…。



もっと…一緒に居たい…。



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