水曜日の彼女
「先生は何科の医師なんですか?」
何となく…その医師に尋ねてみる。
「俺…?
俺は外科だけど……。」
「がん患者の手術ってしたことありますか?」
「……………ある。」
俺の言葉に何かを悟ったのか…静かにそう答えた。
「俺の母親…もう手術も出来ない程の末期のがんだったんです。
薬で進行を遅らせてはいるけど…もう…これ以上は……無理みたいで……。」
自分でも何でこの医師に、こんな話をしているのか分からない。
「すみません……。
何で俺…こんな話…。先生に話しても仕方ないし、先生は無関係なのに……。」
そう言うと、その医師はベンチから立ち上がり、俺の隣に腰かけた。