水曜日の彼女
そっか…と医師は呟く。
「でも…ちゃんと今、お母さんとは向き合えているんじゃないの?
お母さんが、あと僅かな命だとしても、残りの日々を自分に納得が行くように過ごせばいい。
どんなに【遅かった】と感じても、生きてさえいれば、遅すぎることなんてない。
まだ君のお母さんは生きているんだろう?」
俺が頷くと、医師が俺の頭をグシャグシャと撫でた。
「俺…大切な人…ううん…俺の恋人が、実母の話をしようとしてくれた時、【生きようが死のうが知らない】って言ったんです。
それに…実母にも…何度も酷いことを言った。
だから…この実母の病気は俺のせいなんじゃないかって…。
確実に近づいている実母の死は、俺のせいで実母が背負わないといけなくなった【運命】なんじゃないかって…。」
医師が俺の言葉に、柔らかい笑顔で言った。