水曜日の彼女
昨日の夜中…亜紀さんは、朝陽と博斗くん…お兄さんと瞳さんに見守られながら、息を引き取ったらしい。
私は今日夕方から行われる通夜の会場に行って、一番後ろの席に座って皆を見ていた。
【親子の縁を切った】
と言っていた…亜紀さんのお父さんとお母さんも、お通夜に来ていて…ずっと亜紀さんの遺影写真を眺めながら、静かに涙を流していた。
お兄さんは、最期まで亜紀さんを見届けたこともあり…どこか…気の抜けたような表情になっている。
瞳さんや、朝陽のお父さん、博斗くん、奏汰くんは…黙って通夜の流れを見つめていた。
そして……朝陽は………
皆で棺に花を入れていく時も…ずっと棺の傍を離れず…亜紀さんの顔を眺めていた。
通夜の一通りの流れが終わり…皆が一旦会場を離れ…食事を取りに別の部屋へ向かっても、朝陽は間接照明のみになった会場で、亜紀さんの棺の傍から離れずに…その場にパイプ椅子を持ってきて、棺の方を向いて腰かけていた。