水曜日の彼女
通夜の会場を出て、ドアに背中をくっつけて…この数か月間のことを思い出していた。
亜紀さんと朝陽たちが会った日から、最期の日まで、毎日病院に通った。
亜紀さんの好きだという花を持って…。
特にヒマワリが好きだと言っていた。
朝陽と博斗くんとの思い出があるんだって嬉しそうに話してくれたんだ。
そして……
「玲菜ちゃん…。
もう少し待っててあげてね。
朝陽の気持ちの整理が付いたら、話を聞いてあげてね。」
そう…何度も言われたけど…
朝陽は…私を許してくれるのだろうか?
「でも……私……」
そう言いかけると…亜紀さんが言葉を被せる。
「玲菜ちゃんも分かっていると思うけど…朝陽って本当に不器用なのよ。
昔からそれは変わらないわ。
瞳さんも言ってたけど…賢いくせに、自分の事になると、全く分からないの。
玲菜ちゃんの事も朝陽から聞いたわよ。
『初めから…多分特別に想ってた』
って言ってた。でもね…
『好きって事がどんな事か分からなくて、玲菜が好きって気づくまでに時間が掛かった』
とも言っていたわ。
だから…玲菜ちゃんは朝陽を待っていてくれればいいと思う。」
亜紀さんの言う通り…。
朝陽なりに…私と向き合おうとしてくれているのかもしれない……。