水曜日の彼女


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「ねぇ亜紀。

今回はどうしてワンボックスのミニカーなの?」



俺が不思議そうに聞くと…亜紀が切なそうに口を開いた。



「……あのね、最後になると思うの…。

このミニカーで……。」



「・・・・・・。」



「私…小学校の頃、休み明けに旅行の話とか、お家でバーベキューしたとか…遊園地や水族館に行ったとか…そんな話をしているお友達が羨ましかった…。


自分が結婚して、家庭を持ったら、いっぱいお出掛けしようって思ってた。


自分が羨ましかったこと。

自分がしてもらえなかったこと。


それを沢山したいって思ってたの。



でも…結局…自分の弱さから…出来たはずの夢すらも放棄してしまったのだけど…。」




そう言って亜紀がミニカーを手に取った。




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