水曜日の彼女
「自分で放棄しておきながらなんだけど…。
私が抱いていた夢は、健一さんと瞳さんによって朝陽や博斗に与えられたと思うの。
だから…朝陽や博斗は、家庭を持ったらちゃんと家族サービスのできる男性になっているはず…。
家族を車に乗せて、お出かけする2人の幸せな姿を想像して…
そして…そんな幸せな家庭を築きますように…って願いを込めて、このファミリータイプのワンボックスカーを選んだんだ…。」
そう語る亜紀の顔は、先程の切なそうな表情から変わり、とても穏やかな顔をしていた。
「でも…何で今回は3台?」
「兄弟って何でも同じものを欲しがるのよ。
朝陽や博斗には、弟が1人居るから…僕の分は?ってならないように。
後から追加で買ってあげようとすると、拗ねちゃうものなの。
だから予め用意してみたんだ。」