水曜日の彼女
「本当は亜紀が亡くなって、すぐに渡そうと思っていたけど…朝陽と博斗の顔を、ゆっくり見て話せる今日が良いなって思って……。
…本当に2人は亜紀に似ているな。」
そう言うと…お兄さんの目に涙が滲んだ。
2人の姿に亜紀の面影を見ているのだろうか……。
「お兄さん…。また会いに来ても良いですか?」
俺がお兄さんに向かってそう言うと、微笑んで頷いた。
「是非来てくれ。
口には出さなくても、父も母も2人が来てくれたら喜ぶ。
どんなに昔は厳しい人たちだったと言っても、やっぱり…俺も亜紀も親から愛されてたんだよ。
愛情表現が下手なだけで……。」
そこまで言いかけて…お兄さんがプッと拭きだした。
「そう言えば…瞳さんが【亜紀が病気だ】と俺に知らせてくれた時、頑なに会おうとしない父母に対して、【ふざけるな】って言ったんだ。」
「「え?母さんが??」」