水曜日の彼女
亜紀が亡くなって1ヶ月後…。
すっかり秋も深まり…季節は着実に冬へと移り変わろうとしていた。
今日は俺も玲菜も大学の講義が入っていなかったため、久しぶりに2人であの公園に居た。
もう…この公園に居ても…前のように辛い気持ちにはならない。
確かに…辛い思い出もあるが…
今では…亜紀と博斗と母さんと俺で話した時の記憶の方が勝っている。
公園のベンチに座ると…玲菜が俺と手を繋いだまま…俺の顔を覗き込んだ。
「ねぇ朝陽。」
「うん?」
「朝陽が前に言ってた【心にポッカリあいた穴】って…今はどうなってる?」
「【心の穴】の話?」
「うん…。
亜紀さんと再会出来て…本当の母親の姿を見ることが出来て…、たくさん子どもの頃の話が出来て…。
少しは心を繋げることが出来たんじゃないかって思うけど……。」