水曜日の彼女
落ち込んでいるとき…
体調不良のとき…
少しの様子の違いも、変化も気づいてくれていた。
亜紀の元へ行った時も、こっそり英語の辞書の間にお金を入れていてくれた。
それがなければ…人生変わっていた。
玲菜と会うこともなかった…。
「玲菜……俺……。
玲菜に言われなかったら…一生気づくことが出来なかったかもしれない。
大事には想っていた。
でも…いつも傍に居るから…近くに居すぎて…母さんの心に、痛みを与えていたことに気づかなかった。
母さんの優しさに甘え続けてきたんだ。」
俺がそう言うと、玲菜が俺を優しく包み込む。
玲菜の甘い香りがフワッと香った。
「朝陽…今気づけたならいいんじゃない?
だって…瞳さんは…ちゃんと居るよ。
ちゃんと生きてるよ。
今気づいたなら…今…それを伝えようよ。
生きてさえいれば【遅すぎる】なんてことはないよ。」