水曜日の彼女


そして…少しの間の後、


「……そう。」


…と柔らかく微笑んだ。




伝えたい…母さんに…。

伝えないといけない…。



「ねぇ…母さん…。俺さ…。」


「うん。」



母さんがキッチンからリビングに出てきてソファーに座る。



「何度も言ったかもしれないけど…

亜紀さんに会わせてくれて…最期まで傍に居させてくれて有難う。」



「うん。いいのよ。」



「今から少しだけ…昔の話をしてもいいかな…。」



「うん。いいわよ。」



「亜紀さんが4歳の時に家を出て行ってから、すぐに母さんが家に来たでしょ?

あの時…本当は嫌だったんだ。」



「うん…。」



< 346 / 375 >

この作品をシェア

pagetop