水曜日の彼女
「俺に本当の笑顔を教えてくれてありがとう。
家族を愛すること、大切な人を守ることを教えてくれてありがとう。
辛いことに向き合う強さを教えてくれてありがとう。
……今まで傷つけてきてごめんね……。」
俺の言葉に母さんの瞳から涙が溢れた。
「いつの間に…こんなに大きくなっちゃったのかしら…。
私も年を取るはずね…。
涙腺も緩くなっちゃって……。
朝陽。
私…ずっと後悔してきたの。
亜紀さんから朝陽と博斗を引き離してしまったこと。
結婚と妊娠の順序が逆だったことも…
さらに…小学生になる頃に、亜紀さんと会わせたこと。
15歳の時に亜紀さんの元へ行かせてしまったこと。
ずっと苦しかった。
だから…朝陽たちと亜紀さんを会わせることで、2人の心の穴がなくなってくれたら、自分の苦しみや後悔が少しは薄れてくれるんじゃないかって思ったのよ。
朝陽に…そんなに感謝させるほどの…立派な理由じゃないの…。」