水曜日の彼女
「でも…母さんにとって、罪滅ぼしだと思ったその行動で、俺は救われたんだ。
だから感謝されていいくらいの【立派な理由】だよ。」
俺がそう言うと、母さんは涙でぐしゃぐしゃになった顔で言った。
「朝陽…。ありがとう…。
じゃあ…せっかくだから母親として言わせて貰おうかな。
朝陽は…先の事を色々考えすぎるの。
先の事を考えすぎることは、賢さでもあるけど…同時に弱さでもあるの。
『俺から離れて行くんじゃないか』
『俺はまた裏切られるんじゃないか』
もう…そう言う事を考えるのは止めなさい。
先の見えないものを心配しても始まらないでしょう?
朝陽に出来ることは
私と…家族と…玲菜ちゃんと遼くんと…朝陽にとって大切な人達と
この手を繋いでいること。
この手を信じていること。
私たちはこの手を…決して離したりしないから。
だから…もし…これから先…
不安になることがあったら、母さんのこの言葉を思い出して。
朝陽…信じて?
分かった??」