水曜日の彼女


朝陽のお父さんが予約していたお店は、とても落ち着いた雰囲気で…和室の個室だった。


私は朝陽の隣に座ると、みんなで食事を楽しんだ。


デザートが運ばれてきた時、お父さんが朝陽に向かって話しかける。



「朝陽は将来について悩んでるのか?」


そう言うと、朝陽が頷く。


「……うん。

俺ずっと【心にあいた穴】を埋めることに執着してきたから、なりたい職業なんてないまま、将来の目標もなく…成績だけでT大に入ったんだ…。」



だんだん小さくなっていく朝陽の声に、みんなが耳を傾ける。



「母さんや玲菜は【心のケア】が出来る弁護士を目指して、努力しながら頑張ってる。


そんな2人を見ていて俺も……。」



そこまで言うと、また…朝陽の声が途切れる……。



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