水曜日の彼女
そして…更に朝陽は話を続ける。
「今からでも誰かが教えてくれれば、彼の人生は変わるかも…って思った。
そしたら誰かがじゃなくて、その人に自分がなれば良いんじゃないかって…。
それで罪を犯した少年たちの【心のケア】をしながら更生させる法務教官を目指そうかなって考えてるけど…母さんはこの職業知ってる?」
朝陽が聞くと、瞳さんが頷く。
「もちろん知ってるわよ。
社会復帰させるための手伝いをしたことがあるから。」
すると…お父さんが可笑しそうに笑いながら、朝陽を見て言った。
「今の今まで【心のケア】をしてもらっていた奴が、人の【心のケア】をする職業を選ぶとは…。
瞳、お前の【心のケア】凄いな!!」
お父さんの話に、朝陽が不思議そうに口を開く。
「今の今までって…??」
すると…お父さんが満面の笑みを浮かべて、朝陽と博斗くんに向かって言った。
「父さんが、亜紀さんと離婚してからずっと、お前達に【心のケア】をしていたんだ。
母から子へ愛を込めて【心のケア】を。」