水曜日の彼女


「それは仕方ないだろ…。

仕事なんだから。朝陽はどうなんだよ。」



俺は大学院を卒業して、臨床心理士の資格を取得し、今は法務教官として働いていた。



「まだまだ…下っ端だ。

でも…やりがいはある。」


大学の頃、母さんや玲菜の話を聞いていて、自分の経験を生かして法務教官という職種を選んだ。



【人と繋がること】


【心を繋げること】


【人の温かさ】



自分自身が経験しているからこそ…


玲菜や家族が自分に寄り添って、心を開かせていったように、今度は自分がそう言った非行を犯した少年たちと向き合っていきたいと考えたんだ。



「上手くいかないことも多いけど、でも…時間を掛けてゆっくり打ち解けて行ければって考えてるよ。」



俺がそう言うと、遼がニヤリと笑った。




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