水曜日の彼女
2人で公園のベンチに手を繋いだまま腰かけた。
「玲菜寒くない?」
10月上旬…昼間はまだ日差しが強いと感じることもあるけど、朝晩はすっかり寒くなっている。
「朝陽の手が温かいから、大丈夫。」
そう言うと、繋いだ手にギュッと力を込めた。
少しの沈黙の後、朝陽が話し出した。
「ねぇ玲菜。
俺さ…大学院で心理学とか勉強してただろ?」
「うん。」
「その時に、DVとか虐待とか…そう言うものは、次の世代まで連鎖する場合が多いって勉強してきたんだ。」
「うん。」
「だからさ…。上手く言えないんだけど…俺も小さい頃に色々あったから、次の世代に連鎖するのかな…って考えたら、色んなことが踏み出せずにいたんだ。」
「うん。」