水曜日の彼女
ある日、小学校の入学式を控えた春ごろ、母さんが俺と博斗に
「朝陽も博斗も亜紀さんに会いたいよね…?」
と真剣な表情で聞いてきた。
亜紀さんとは、俺たちの本当の母だ。
もちろん2人とも
「「会いたい!!」」
と答えたのだ。
その時…母さんの瞳が悲しげに揺れたなんて気づきもせずに……。
数日後、家の近くの公園に母さんが連れて行ってくれて、ベンチに座っている亜紀を見つけた。
「「ママっっ!!」」
俺と博斗でベンチに駆け寄った。
すると母さんが
「じゃあ亜紀さん。
1時間後に迎えに来るので、それまでお願いします。」
そう言って、ペコリと頭を下げ、その公園を去って行った。