水曜日の彼女
「朝陽。
父さん達は朝陽に何か辛い想いをさせているのかい?
この家を出て行きたい程…辛いことなのか?」
父さんの柔らかい口調に、俺は真っ直ぐ顔を向けて話し出した。
「俺は、父さんも母さんも大好きだよ。
母さんは、血の繋がらない俺達にも、3人平等に接してくれた。
でも…4歳の頃、亜紀さんが出て行ってからポッカリ空いた心の穴は…今でも埋まってくれないんだ。
その穴を埋めるためには、亜紀さんが必要なんじゃないかって思う。」
母さんはまだ泣きじゃくっている。
父さんは母さんを宥めながら、
「分かった。
向こうにも話してみるよ…。」
と……涙を流しながら言ったんだ。