水曜日の彼女


俺が家を出る朝、何度も泣く母さんに

【ごめんね】

と言い、家を出た。



【いつもの公園に亜紀が待っている】



それだけで嬉しくて…急いで向かった。



「亜紀さんっっ!」



いつの頃からか、実母のことを名前で呼ぶようになっていた。

亜紀が振り向くと、ニッコリ笑う。

その日から、亜紀が住んでいるアパートに住むことになった。



はじめは良かった…でも……


「あれ?今日の夕飯…カップ麺?」


1週間ほど経った時から、亜紀はご飯を作らなくなった。


カップ麺、冷凍食品、インスタント食品の繰り返しで、学校に持っていく弁当なんて持たせてくれる訳もなかった。



学校では昼食は食べず、いつも図書室で時間を潰した。



そんな時は…フッと母さんを思い出した。


母さんは共働きだったのに、家事は手を抜かなかった。


母さんのご飯は、本当に美味しかったのだ。




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