水曜日の彼女
そんな生活が3カ月ほど続き、俺はすっかり痩せ細っていた。
ある日の夜、俺が寝静まったと思ったのだろうか…アパートの外から、亜紀と男の声が聞こえてきた。
「アイツ…あの時のガキだろ?
俺の顔見たら、思い出しちゃうんじゃねーの?
早く追い出せよ!」
「まさか本当に来るとは思わなかったのよ。
あなたの事は知らないと思う。
朝陽も博斗も、いまだに私が浮気してたことも、手をあげてた事も知らないんだから。
優しい母親だと思ってるわ。
それに…今は、前の旦那からガッポリ養育費が振り込まれるから、あいつが居なくなったら困るのよ。
借金払えなくなるじゃない…。」
亜紀の言葉に動揺した。
そんな俺の動揺を嘲笑うかのように、更に話を続ける。
「中学校卒業したら、すぐ働かせて家にお金を入れさせるわ。
その為にわざわざ引き取ったんだもの…。」
その言葉に…自分がバカだったと、涙がとめどなく流れていく。
初めから、俺は……俺と博斗は…
【母親から捨てられた子ども】
だったんだ……。