水曜日の彼女
少し声が震えていたかもしれない。
すると、森山くんの表情が一瞬…とても悲しいものに変わった。
「玲菜……いや……加藤さん。
お前とは、もうこれで終わり。」
悲しげな顔から、一変した森山くんが冷淡な表情でこう言った。
「……いや…。
森山くん…。嫌だよ…。」
そう言って、森山くんの腕を掴もうとしたが、思いきり、その手を振り払われた。
「二度と俺に話しかけるな。」
そういうと、踵を返して歩いて行く森山くんの後ろ姿を、ただただ見つめることしかできなかった。
「…………朝陽…。嫌だよ……。」
初めて呼んだ彼の名前……。
でも……その名前は、彼の耳には届かなかった。