浅葱色に射す一筋の泪
麻呂「わざわざありがとうございます」
慶喜「伊藤様……と、言うべきか?」
麻呂「以前のままで良いですよ。気軽に吉田とお呼び下さい」
これが慶喜と松平の人脈……と、言うか、人柄か……。
坂本「儂は日本国が平和になり、開国できれば良かったんじゃ。貴公が引退せずとも日本は変えられた」
慶喜「西郷が居心地悪かろう」
優輝菜「あのおっさんはそんなやわじゃ無い」
西郷「聞こえとるぞ」
優輝菜「西郷さんは人柄も体も厚いですからね!」
西郷「そんな事はありもはん」
優輝菜「あなたは幕軍に制裁を下さなかったじゃない……。」
西郷「歩み寄らんと行かんじゃろう」
優輝菜「長州の幹部は幕軍幹部を殺そうとしたからなぁ〜〜〜………」
西郷「戦に私情を挟んではいかん」
優輝菜「そこが器の大きさでしょ?」
麻呂「耳が痛いぞ…。優輝菜……」
慶喜「此れで良かったんだ……。
今が平和で日本国が力を合わせて日本を護る絆を作り上げたのは薩長だ」
流石……だな……。大人や……。
優輝菜「良かったね……。麻呂……」
麻呂「あぁ………」
西郷「この十数年で世は大きく変わった」
優輝菜「ね?坂本さんの言う通り、日本人同士が戦ってる場合じゃ無いって言ったでしょ? 晋作と土方が手を組んだら最強だって言ったでしょ?」
土方「そうだな………」
晋作「最強かどうかはまだ分からん」
優輝菜「何よりも……、十数年前迄、この面子は戦をしていて殺しあってたんだよ?今は酒を酌み交わし笑ってるんだもんね! 幸せじゃんね!」
土方「今となっては同士だもんな」
優輝菜「私は長州側に拉致され、池田屋で逃げた麻呂を追い、古高を逃がし、慶喜に降伏を促した。 何よりもやって良かったのは坂本さんと中岡さんを死なさずに済んだこと………」
坂本「…………………優輝菜………」
優輝菜「未来でも坂本龍馬暗殺は本当に七不思議として残されてるからね……」
坂本「儂が死んでたらどうなった?」
優輝菜「戊辰戦争の後は、西南戦争と言って薩長の戦争で日本は二つに割れた」
坂本「なんじゃとっっっ!!!」
優輝菜「坂本さんは、あなた自身が思ってるよりずっと大きいんですよ?」
麻呂「そうなのか………」
優輝菜「だから、私は幕府を敵に回してでも坂本龍馬と言う人物を助けようと思ってた」
ズビズビズビズビ
坂本「優輝菜〜〜〜〜〜〜!!!」
ポンポン
優輝菜「泣くなよ………」