浅葱色に射す一筋の泪






優輝菜「女は子を産む道具じゃねぇ………。二人とも絶対助けてやるっっっ!!!」


武田「優輝菜っっっ!!!」


優輝菜「医師と、通訳以外は全員部屋から出て。
消毒して、髪を覆って!

マスクして!私が執刀するからお産婆さんは、生まれた子供の処置を……。

武田 観柳斎は縫合を……私は母体の処置をする。 失敗は許されない。


通訳さん……。これで今日の仕事は終わりです。 絶対に失神しないで下さい。


マスク二重で良いですよ………」


優輝菜は妊婦さんに麻酔をかけ、妊婦さんの髪も覆い、酒で除菌し、酒をお腹に大量にかけ、お臍の下の方にメスを入れた。


通訳さん気絶


優輝菜「……………………………。

絶対に失神するなって言ったのに……」


20分ほどで赤ちゃんを取り出したが、仮死状態だった。


お産婆さんは胎盤を取り出した。


赤ちゃんの飲み込んだ羊水を出し、心臓マッサージを開始。

余りにも小さい体は親指だけでマッサージ


武田は縫合を開始


優輝菜「丁寧に塗ってね」


武田「女だからな…。分かってる」


赤ちゃんが肺いっぱいに息を吸い込んだ


と、同時に産声を上げた


室内に歓声が湧き上がった


医師たちに笑顔が戻った………


お産婆さんに赤ちゃんを渡し、母体の処置に取り掛かった


出血量は多い。 貧血を起こすから、鎮痛剤と鉄剤をポカリで少しずつ流し込む


縫合が終わると、酒でまた消毒し、綺麗なガーゼで傷口を覆い、サラシできつくなり過ぎない様に巻いた……。


4時間は母体から離れられなかった医師たち………。


母体の血色が良くなり、漸く一息ついた


辺りは明るくなっていた


優輝菜「10日は私、此処にいるから…」


放置されたままの通訳さんが目を覚ます


通訳「……………………………。

あ………。」


軍医「終わった……。母子共に無事だ」


通訳「っっっ!!!すみません!!!」


優輝菜「大丈夫……。何とかなったから」


通訳「…………………。良かった……」


優輝菜「いや……。流石に手術は通訳さんには酷だったよね……。ごめんごめん」ニコニコ


麻酔をかけている母体のお乳を飲ませる訳にはいかず、他の妊婦さんにおっぱいを飲ませてもらっている赤ちゃん


旦那「勇……。」


優輝菜「はぃ……。何ですか………」


旦那「ありがとう」


優輝菜「仕事ですから………」イライラ


旦那「妻を助けてくれてありがとう」


優輝菜「……………………………。」


旦那「どちらも生かして貰う為にわざと怒らせたんだ………」


優輝菜「…………………。マジか……」


旦那「ありがとう………名前は決めた」


優輝菜「ん………」





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