みんな病んでる。
「……ねえ」
小さな声に、私は顔を上げた。
そこにはサツキがいた。
「……」
私が無言でいると、彼女は黙って何かを差し出した。
それは、手袋だった。
ネイビーブルーの、手編みで暖かそうなやつ。
「あげる」
「……え?」
「今度、勉強、教えてね」
彼女はそう云うと、長い黒髪をサラッと掻き揚げて、また友だちの元へと戻って行った。
その刹那、サツキの耳が、ちらっと見えた。
あの耳……。
彼女の耳は、赤くただれていた。
私はそれを、見逃しはしなかった。
全体的に腫れているのではない。
丸く赤い斑点が無数にできていた。
……あれは、かさぶたを剥がしたような痕だった。
小さな声に、私は顔を上げた。
そこにはサツキがいた。
「……」
私が無言でいると、彼女は黙って何かを差し出した。
それは、手袋だった。
ネイビーブルーの、手編みで暖かそうなやつ。
「あげる」
「……え?」
「今度、勉強、教えてね」
彼女はそう云うと、長い黒髪をサラッと掻き揚げて、また友だちの元へと戻って行った。
その刹那、サツキの耳が、ちらっと見えた。
あの耳……。
彼女の耳は、赤くただれていた。
私はそれを、見逃しはしなかった。
全体的に腫れているのではない。
丸く赤い斑点が無数にできていた。
……あれは、かさぶたを剥がしたような痕だった。