みんな病んでる。
リョウの言葉通り、私の一声でひとがわらわらと集まってきた。

「行きたいけど、これから部活なんだよなぁ……サボっちまえ。サツキが行くなら、行く」

そんな声まで聞こえる。

私の人望はどれだけ厚いのか。

我ながら実感してしまう。

そして、同時にすうっとこころが冷えていくのを感じる。

本当の”サツキ”なんて、誰も知らないくせに。

サカサカ。

サカサカ。

ああ、あの音が聞きたい。

本当の私を奏でる音。

私は耳に手を充てた。

ああ、ダメだ。

こんなのところでかさぶたを剥いても、それをコレクションすることはできない。

とっておくことができないのだ。皆の目があるから。

と、ちらり、とある視線に気がついた。
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