みんな病んでる。
窓際の席で、室内だというのにネイビーブルーの手袋をはめながら、教科書とノートを広げているユウカの視線だった。
彼女がしている手袋は、私が編んだもの。
ユウカも、カラオケに来たいのかな……?
だけど、ユウカはまた視線を教科書に落とした。
何も言ってこないから、私も何も言わなかった。
☆
「ララララ~ラララ♪」
リョウが陶酔気味でラブソングを歌っている。
たかが、カラオケ。
どうしてここまで自分の世界に入れるのだろう、彼は。
私はリモコンを操作し、色々検索をしていた。
どうにもこうにも、曲名に「愛」だの「恋」だのが多いのが目につく。
世の中は、そんな偏狭な言葉が溢れている。
この世で美しいのは、もっと……もっと、他にあるはずなのに……。
――私の耳が、疼いてきた。
「ちょっと、トイレ」
私は自分の鞄をひっつかむと、クラスメイトのたむろする部屋から出て行った。
もっと、美しいものが。
もっと、綺麗なものが……。
彼女がしている手袋は、私が編んだもの。
ユウカも、カラオケに来たいのかな……?
だけど、ユウカはまた視線を教科書に落とした。
何も言ってこないから、私も何も言わなかった。
☆
「ララララ~ラララ♪」
リョウが陶酔気味でラブソングを歌っている。
たかが、カラオケ。
どうしてここまで自分の世界に入れるのだろう、彼は。
私はリモコンを操作し、色々検索をしていた。
どうにもこうにも、曲名に「愛」だの「恋」だのが多いのが目につく。
世の中は、そんな偏狭な言葉が溢れている。
この世で美しいのは、もっと……もっと、他にあるはずなのに……。
――私の耳が、疼いてきた。
「ちょっと、トイレ」
私は自分の鞄をひっつかむと、クラスメイトのたむろする部屋から出て行った。
もっと、美しいものが。
もっと、綺麗なものが……。