みんな病んでる。
サカサカ。

サカサカ。

あの、すうっとする音と一緒に、何故かクラスメイトで内気な性格のユウカの顔が、あたまに浮かぶ。

彼女は、自分の髪の毛をしこたま抜いて、それで自分なりの快感を得ているのが見てとれる。

彼女は友だちもいなくて、勉強の虫だから、クラスでは浮いた存在。

だけど、私には彼女の気持ちがよく解る。

髪の毛抜くのも、かさぶたを剥がすのも、快感。

手段は違えども、気持ちを共有しているところがどこかあった。

私は一晩で手袋を縫い上げて、ユウカにプレゼントしたのだ。

彼女は、笑うとすごく愛らしいのに、それを自覚していない。

自分の魅力にも、気がついていない。

鬱々としたユウカに似合う、どこまでもディープなネイビーブルーを選んで、それを手袋にした。

せっかく綺麗な髪してるんだから、それ以上抜かないで欲しい。

それと、私にも似たようなくせがあるのだと、お近づきの印に手袋をプレゼントした。
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