みんな病んでる。
心なしか、サツキは微笑んでいるようだった。

そう、哀れみの微笑みに見えた。

「あんた、虚勢張ってばかりだと、いつか壊れるわよ」

「……!」

その言葉に、俺はカッとなった。

そして、そいつの肩を小突くと、サツキはふらっと廊下にへたり込んだ。

「うるせえ! エイズ! エイズ!」

俺はそう叫びながら、サツキに容赦なく蹴りを入れていた。

”痛い”も”やめて”も言わずに、こいつは蹴られるままだ。

未だ薄ら笑いさえ浮かべている。

かつての人気者から、邪険扱いされるまで成り下がったくせに。

生意気なんだよ、オマエ。

気持ち悪い脚してさぁ。

がっ!

がっ!

俺は何度も何度もこいつの身体に攻撃を加えた。

そんなサツキの目は、どことなく俺に似ていた。

そう……昔の、俺に。
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