みんな病んでる。
私は「宝石」ではない、その毛の束を、教室の後ろにあるゴミ箱へバラバラと捨てた。

クラスメイトのサツキが、その光景を見ていたことに、私は気づかないでいた。

やめたいよ。

できることなら、髪の毛を抜くことなんて。

アホ毛は増えるばかりだし。

ちらほらと、ハゲもできてきている。

分け目を変えて隠したり、同じ箇所を抜きすぎないことで大きなハゲはないけれど。

髪は女の命という。

私はその女の命を捨ててるってことになるのかな。

だけど、髪の毛を抜くと、すっとする。

髪の毛と同時に、イライラも抜けていく感じだ。

やめたいよ。

だけど、やめられないの。

ぷちっ。

ぷちっ。

私は今日も、命を捨てている。
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