みんな病んでる。
慌てて髪の毛を拾い集めているところに、女子の集団が通り過ぎて行く。

幸い、しゃがんでいる私には目もくれていないようだった。

私は爪を切ったばかりだったから、髪の毛の一本一本を拾うのに焦り、戸惑っていた。

ふと誰かが屈んで、私の毛を拾った。

「……!?」

ぎょっとしてその子を見ると、クラスメイトのサツキだった。

いつも明るくて、美人で、クラスの人気者だ。

……見られた。

私の宝物を、見られた――!

見られたどころじゃない。

サツキは、その手で「宝石」を拾い集めているのだ。

そして私の「宝石箱」の中に、髪の毛を入れてくれる。

何故、何も言わずに彼女がそういう行動をとってくれているのか、謎だった。

他人から見れば、ただの汚い抜け毛なのに。

「……」

「……」
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