みんな病んでる。
そこには、サツキがいた。

私を見ると、はっとしたが、すぐに穏やかな笑顔を見せた。

「日直、ゴミ捨て忘れたみたいだね」

そう言うと、彼女は教室を出て行った。

サツキは、ゴミ箱の蓋を開け、ひとりでじっと眺めていたようだった。

私もゴミ箱を開けてみる。

うわぁ……。

大量の髪の毛が入っている。

このうちの何割かは、私のDNAで占められているのだろう。

そう思うと、何だか誇らしい気分になった。

思い起こせば、サツキはこれを見て、何を思っていたのだろう。



次の朝、私はサツキのことを考えながら登校した。

教室では、サツキは男女入り混じった友人に囲まれ、談笑していた。

私は、自分の席に着くなり、英語の教科書を広げた。

小テストがあるかもしれない。

小テストでも、抜かりなくやらなければならない。
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