月下美人ー親友以上恋人未満は、運命じゃない二人ー【完】
「わかった。赦す。でも、こんな真似、もう誰にもしちゃ駄目だよ」
「はい……っ」
始まりは、どれかと特定できない曖昧なものが重なった結果だった。
今も、何が理由でみんなが急に謝罪を決意したのかはわからない。
それでも、
(何かそういう、雰囲気)
それぞれに自責の念を抱え、短い期間ではあったけど、その長い時間を辞める気持ち。
……みんなの中に、見えた気がした。
それが空気に滑り出て、今、涼音は赦す気持ちになった。
――繰り返さないことを、約束するなら、と。