月下美人ー親友以上恋人未満は、運命じゃない二人ー【完】
麗音は足を停めた。
あと数歩で、敷地を出る。
「……最悪が現実になった。それで逃げて来た」
「………」
麗音の声は今まで聞いたことがないくらい低い。
そして、響く感情が凍っている。
涼音は刹那、かける言葉に迷った。
すると、麗音の方から顔を向けてきた。
「――なあ涼音。この前言ってたヤツだけどさ、友達同士でもデートってしていいんだろ?」
涼音を見た麗音の瞳は、鈴斗と遊んでいた時のように明るい。