月下美人ー親友以上恋人未満は、運命じゃない二人ー【完】


麗音は元気よく帰って行った。



涼音も手を振り返す。



麗音の姿が夜闇に紛れて、力なく下がる右手。



麗音はもうすぐ、元気がなくなる。



……今まで、そういう環境で生きていたんだ。




どうしてあんなに明るいんだろう。
 


どうしてあんなに優しいんだろう。
 



たぶんきっと、麗音の事情は心を失っていたかもしれない環境。




――それなのに。




< 176 / 362 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop