月下美人ー親友以上恋人未満は、運命じゃない二人ー【完】
涼音の瞳を見て、麗音は軽く肯いた。
「わかっちゃったかな。跡取りは兄貴なんだけど、正直、更に跡取りを残せるかまで、不安なくらいなんだ。
だから俺は、もしもの場合の保険のために、高河の若月で育てられた」
「………」
それって。
「お兄さんに、その……最悪があったときは、麗音が跡取りになるっていうこと……?」
涼音は努めて声が震えないように頑張った。
そんな、現実……。
うん、と首肯した。