月下美人ー親友以上恋人未満は、運命じゃない二人ー【完】
8 強さじゃない。優しさだ。
「お久しぶりです。この前、ありがとうございました」
図書館の書棚にいると、不意に声をかけられた。
振り返ると、どこかで見た青年。
相変わらずか細い顔色をしている――
「あ、あーっと……」
本当に一瞬、誰だかわからなかったが、この前ここで体調を悪くしていた青年だ。
「あおいさん、でしたっけ。今日は大丈夫なんですか?」