月下美人ー親友以上恋人未満は、運命じゃない二人ー【完】
「聞いて、います」
はっきりと、けれど不安が隠せない声で答えると、空緒は「そうですか」と応じた。
「麗音のことで、少しお話ししたいことがあるんです。……場所を移しても、いいですか?」
「はい。私も麗音のことで、貴方に言いたいことがあります。衆目のある場所なら、ですが」
「……わかりました。じゃあ、あそこどうですか? 前に喫茶店ありますよね」
涼音は窓ガラス越しに、通りを挟んだ向かい側を見る。
涼音も莉麻たちとたまに入る喫茶店。
あそこなら大丈夫だろう。
(……こういうことだよね、いっと)