月下美人ー親友以上恋人未満は、運命じゃない二人ー【完】
喫茶店に入ると、空緒は入口を向いて座っていたのですぐに目についた。
また微笑むような顔で軽く頭を上下させた。
涼音は空緒の向かいに座り、ウエイターさんに紅茶を頼んだ。
アイス紅茶。
「麗音が、私のことを話したんですか?」
麗音と逢った翌日のことだから、話を聞いていてもおかしいことはない。
大層兄を慕っている麗音なら、まず話したいだろうともわかる。
あまりそれを、家庭環境が許さないだけで。