月下美人ー親友以上恋人未満は、運命じゃない二人ー【完】
「ああ。……私が母さんを生かしたって、母さん言ってた。
父さんが生きていた証が、そのときは私だけだったって。
お腹の中の、脈動だけ。
……父さんが私を生かしてくれて、私が母さんを生かして、母さんは今も父さんだけを唯一の人と絶対に忘れない。
ある意味三角関係? だよ」
「………っ」
「ちょ、泣かないで茶化してよっ、恥ずかしいだろうが」
目を潤ませる麗音に、涼音は慌てて手を振った。