月下美人ー親友以上恋人未満は、運命じゃない二人ー【完】
「……麗音は、空緒さん大すきだよね? ……そんな感じで私、母さんと父さん、大すきなんだ」
「……うん」
「母さんは結婚して父さんの苗字を名乗ることも、結婚指輪をはめることも出来なかったのに私を産んで育ててくれた」
「………っ、うん」
「父さんが私の存在を知らなかったことは淋しいけど、母さんを生かすためにみたいに、母さんに私を遺してくれた。
感謝してる。……今考えたらあの時の私、すっごい浅慮。殴り倒したいくらい甘えてた。
……生きたくても、命の選択権も与えられずに、父さんいきなり死んじゃったのに」
「……ああ」