月下美人ー親友以上恋人未満は、運命じゃない二人ー【完】
がしっと、両頬を摑まれた。
いつの間にか麗音の指の力は緩んでいて、涼音の手が逃れるのを止められなかった。
止められなかった指は、反対に麗音を捉えにきた。
「言ったことない。あんなこと言うの、私の生涯で麗音だけ。
……莉々母さんと音哉父さんの娘、甘く見ないでよ」
真剣の瞳に、悪戯気な色が浮かぶ。
呑まれてしまう。
この真っ直ぐな光に。
「よかった……」
「うん。安心して。……他には?」
「ん?」
他に?