月下美人ー親友以上恋人未満は、運命じゃない二人ー【完】
2 友達じゃないともだち
「涼音ん家、山つっきりゃ案外近いかもな」
「あー、ね。完璧に山で断絶してるよね」
涼音と麗音の――親戚関係でも何でもない若月家は、二つ離れた部落だった。
間に小さな山を三つほど抱えていて、車用の路はコンクリートで整備されているのだが、
そこには歩道がなく街路灯のないため、二人は安全を考えて昔からある農道を使うことにした。
時間は少しかかってしまうが、歩きでは滅多に使わない道よりはいい。
「涼音、一応謝っておこうか?」
「何を?」