月下美人ー親友以上恋人未満は、運命じゃない二人ー【完】
どこでもいい。
どこでもないところなら。
生死の判別なんて、そこにはあってもない。
ふと、細い光が幾筋も差しているのは見えた。
樹が晴れて、開けた場所に近づいて行くようだ。
足はそこへ向かう。
(つき)
一か所だけ、樹が植わっていない場所に出た。
夕暮れだと思っていたが、いつの間にか夜の帳。
あるのは月の光だった。
月の光がはっきり見えるほどの夜闇を、自分は山の中をどうやって歩いてきたのだろう。