月下美人ー親友以上恋人未満は、運命じゃない二人ー【完】
「苺花、落ち着いて。色々と説明するから。
麗音も、そんな顔するな」
ぎゅうっと腕に抱き着く苺花に優しく話しかける涼音。
麗音はそれが淋しい。
涼音が自分以外に優しいとかではなく。
その喋り方の余所余所しさと、怯えが拭えない声色。
けれど跳ねつけることの出来ない、涼音の強さ。
(――涼音は強いから)
誰も傷つけずに、自分だけが傷つく道を歩くことが出来てしまうのだろうか。