月下美人ー親友以上恋人未満は、運命じゃない二人ー【完】
鬱蒼とした――という山ではなかったけれど、昏いことには変わりない。
意識はどこへ行っていたのだろうか。
ぼうっとし過ぎていたが、まずいことをしたという意識にはならない。
帰り道を憶えていなくても問題はない。
少しの間、更にぼーっと満月に近い月を見上げ、何となく腰を下ろした。
このところ雨は降っていないので、枯れ葉は乾いていた。
カサカサと音がする。