月下美人ー親友以上恋人未満は、運命じゃない二人ー【完】
「………」
じゃあ、一叶がいたのは偶然ではなくて――
「……なあ、いっと」
「うん?」
一叶が本棚から一冊抜き取る。
「さっきみたいな場合、どうすればいっとは、「それでいい」って言うんだ?」
「さっき?」
「さっきの人を、私と苺花が助けたこと。
お前が心配して忠告してくれたのはわかるけど、私は医者じゃないから、
その人を一瞬見て病気かそうじゃないかの判断なんてつかない。
……どうすれば、よかった?」
「……そうだなー」
軽く天井を仰いだ。
……いつの間にか一叶はまた身長が伸びている。