愛してるの一言で。







ゲーセンに入ると
ゲームの音がうるさかった。



頭が痛いのに
こんなところにくるなんて
馬鹿としか言い様がないかもしれない。



やばい...
悪化するかも。




ズキズキ痛む脳が
妬ましい。




最近ろくにメシ食ってないからかも
なんか、痩せたし。




前より細くなった。





あ...あれは。



UFOキャッチャーだ。




俺は目の前にある
UFOキャッチャーに目をつけた。




中に入ってる景品は
キティちゃんばかり。




菜々が好きだった、ハローキティ。



よくゲーセンに来ては
とってあげたっけ。



今度、持っていってやろうかな。




俺は財布から
400円をだすとゲーム機の中にいれた。



ピロリーン!と
ゲームがはじまる。




狙いはピンクのキティ。
頭に大きな黒いリボンをつけてて
からだはピンク。

小悪魔系な可愛いらしい
珍しいキティちゃんだ。


ストラップ状になったそれは
取るのが難しかった。



5回チャレンジして
やっと取れた。




キティをとって
横を見る。




菜々がいたなら
ここで飛んではしゃいで
嬉しがってくれただろうに。




苦しくて悲しい。






俺はとったキティを
右ポケットにおしこんだ。





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